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第142話

その想いを、振り切るように… 「帰ろ…」 俯いて…ポツリと呟く。 話しているうちにパレードは通り過ぎ…周りの人はパレードを追って歩いて行っている様子… 「あぁ、そろそろ帰ろうか…」 時計を確認して… 触れはしないが、アキラに寄り添うように促すみずき。 「……ん」 ゆっくり立ち上がるアキラ。 それを見守り… アキラに無意識に触れないように…また、片手をズボンのポケットに入れる。 そして… いつもと変わらず優しさをくれる。 そんな彼を見ていると… 胸をぎゅっと締め付けられるような痛みが再び…アキラに流れ込む… 触らない約束… 今、違えたら… 別れるとき…もっとみずきを苦しめることになる。 だから触れさせたら駄目… けれど… 無償で… こんなに尽くしてくれるみずきに… 今、たまらなく触れたい… 「どうした?…大丈夫か?」 立ち上がったまま…俯いて動かないアキラを心配して、やや屈んで聞く。 少しの静寂のあと… 「……今だけ」 ぽつりと言葉を零し… 俯いたまま…そっと右手をみずきに差しのべる。 「アキラ…」 その様子を、見て…ドキッと胸がなる… 戸惑っていると… 「…みずき」 そっと顔を上げ…瞳を重ね… 促すように、優しいひとの名を呼ぶ… 「あぁ…ありがとう」 みずきは、微笑み… ポケットにしまっている手を出して… そのアキラの細く柔らかい手をそっと取り… 優しく握る…。 お互いの温もりが、手のひらから直に伝わる…

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