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「painting」feat.ペット症候群の君へ

 二人で暮らす部屋の、真っ白な壁。ある日、壮は彼の絵画教室から油彩絵具をいくつか持ち込み、筆でペタペタと塗装を始めた。服が汚れないようにと、スモックは着用済みだ。無心に色を塗り広げていく壮。 「あ、あの……何、してるんですか?」  戸惑った様子で尋ねる築に対し、壮はしれっと答える。 「ああ。味気ないからな。折角こんなに大きな真っ白なキャンバスがあるっていうのに何にも色づかないなんて。だから、大きな絵でも描こうと思って。大家さんには許可も取ってあるし、安心していいから」 「わぁ……なんか、美大卒っぽいこと言うんですね」 「まあな。絵に関して自信が無いと絵画教室なんか開かないって」  再び、壁……もといキャンバスを彩っていく壮。それを黙って眺めていた築だが、辛抱たまらない様子で立ち上がると部屋着の上からエプロンをつけ、筆を手にした。 「オレもやります、楽しそうだし。……へへ、なんかわくわくしますね! 折角だし、アートって感じのにしたいですね!」 「だな。じゃ、思い思いに……ってとこだな」  築のあどけない笑み。かくして、共同制作は始まった。どんな作品になるのか、互いに期待は膨らむ一方だった。

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