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第10話
夏南side
女の子は帰ってきたのにリーくんは帰ってこない
「りーくんどうしたのかな?」
「さぁ?」
女の子は泣いていて友達に慰めてもらってた
りーくんまた断ったのかな?
その時間りーくんは戻ってこなかった。
りーくんは成績優秀だから何度も抜け出したりしているけれど咎められたことはない
嫌味なくらい爽やかな笑顔で先生と談笑出来るような人。
将来は経営者となるだろうからこれは処世術の一つなんだろう
りーくんが戻ってきたのは放課後だった
「璃人。おかえり。はい。ノート」
「ありがとう。琢磨」
「何かあったのか?」
「ちょっと…ね…何も聞いてない?あの子から」
「聞いてないよ。彼女は何も言わず泣いてたくらい」
「あちゃー…泣かせちゃったか…」
「何かやり過ぎたんだろ?気を付けろよ」
「うん。ねぇ。琢磨」
「ん?」
「今日暇?」
「空いてるけど?」
「ちょっと相談」
「わかった。夏南はバイトだから俺だけだがいいか?」
「大丈夫」
目の前の会話には俺が入る隙はないくらいの空気だった。
やっぱり二人の中にはうまく入れないな…
ちょっと寂しく思ってるとりーくんがいきなり俺の頭を撫でた。
「そんな顔すんな。別にお前をのけ者にしたい訳じゃないよ。ほら。笑って?夏南はかわいいんだから」
「ちょっ…りーくん…」
「ふふっ…顔真っ赤…かぁわいい」
「もう!子供扱いしないでよ」
「…それが出来ないから困ってるの。」
りーくんが困った顔をして言ってる言葉の意味はわかんなかったけど時間も来ていたのでバイトに向かった
俺が立ち去ったあと…
「あのさ。璃人。いい加減夏南に想い告げたら?」
「…その相談にのってよ。琢磨」
「俺に相談してどうなるよ?」
「…一先ず誰かにしゃべりたい」
「あっそ。俺んちでいい?」
「うん。ありがとう」
そんな会話がされていたなんて知る良しもなかった
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