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第28話

夏南side あの日は夕方から大雨だった。 俺は傘を持ってきていなくてぼんやりと空を見上げていた 春太は帰れただろうか? 俺が帰らなくったって誰も困らない…このまま雨の音に紛れて水と一緒に流れて消えてしまえたらいいのに… そんなことを思いながら降りしきる雨の中、足を踏み出した。 濡れても何とも思わない。 「春太になりたかった…」 「かーなー!!」 叶わない思いを口にしたとき突然声がした。 顔をあげると道路の向かい側からぶんぶんと手を振る春太 「しゅんちゃん?どうしたの?」 「迎えにきたよぉ!!」 春太の手には傘が握られていた。 そのときだった。 「邪魔なんだよ!!」 春太のお友達がやって来た。まだ春太には気付いてない 思い切り突き飛ばされて道路に飛び出してしまった 「かなっ!!」 ドンッ!! 目の前が真っ暗になった

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