48 / 133
第48話
明日から夏休み。夏休みは夏南と旅行とかいきたいな…
柄にもなくワクワクしていた…
それなのに…
「りーくん。別れて」
夏南から突然告げられた…
「は?…何…急に…」
あまりにも急すぎて頭が働かない…
どうして?俺何かした?
「だって…りーくんは…俺じゃなくてもいいでしょ?俺は俺だけを見てくれる人と一緒にいたい…」
そうして去っていく背中を追いかけられなかった。
だって夏南の隣には琢磨がいた…慈しむように肩を抱き…愛が溢れた温かい眼差しで見つめていた…
「ごめんね。璃人。俺は前から夏南のこと好きだったんだ。お前と親友やってれば側にいられる…側にいられるだけでいい…そう思ってたからお前とも一緒にいたんだ…。でもごめん。もう我慢できなかった…だって璃人は夏南がいるのに回りにも優しくして…夏南を優先にしてあげなくて…夏南を苦しめてきた…夏南が泣いてたの知ってる?知らないでしょ?お前の優しさが夏南を苦しめてきた…傷つけてきたこと。夏南は俺が幸せにする。お前には夏南を愛してやる資格なんてない。じゃあね」
恋人と親友を同時に失った俺はただ立ち尽くすしかなかった…
「マジか……」
何も言えずただ見送った…優しいところが好きだと言ってくれてた…
自分よりも困っている人に手を貸してあげるところが好きだって言ってたのに…
それが夏南の強がりだったなんて…俺は…全く気付いていなかった…
愛しくて愛しくて…篭に閉じ込めておきたいほどの想い…こんなに焦がれるなんて…こんな時が来るなんて思いもしなかった…
幸せだった…一生側にいるって疑わなかった…でも…
ともだちにシェアしよう!