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第49話
呆然としたまま自宅に戻りベッドへダイブした…
ここで何度も夏南と体を重ね何度も愛を囁いてきた…
離れるなんて微塵も思ったこと無かった…一生側にいるって疑わなかった…
この部屋は夏南との思い出が多すぎる…
初めて手を繋いだのもここ…初めて抱き締めたのも…初めてキスしたのも…初めて体を重ねたのも…
「夏南…」
次第に視界が滲み溢れてきた涙を拭うこともせずただ静かに涙を流した…
夏南がそんなに追い詰められていることなんて知らず俺は普通に生きてた…
琢磨はとてもいい奴だ。よく気が利くし話上手の聞き上手。
誰よりもしっかりしてて時にはふざけあったりもした。
俺の秘密を初めて明かしたのも琢磨だった。あいつは笑って受け止めてくれた…
俺の素を出せる数少ない友人だった…
「俺…何見てたんだろう…」
あいつが夏南を思っていることさえ気付いていなかった…
ダメだ…あいつとの思い出もこの部屋には染み付いてる…
暫く家を離れることにした。両親に連絡したら海辺の別荘を貸してくれた
一人でバイクを飛ばしその場所へ向かう。
もう…何も考えたくない…二人の思い出の詰まった部屋になんていられない…苦しい…痛い…
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