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第76話

結局その後暫く彼女には会えなかった。 「うまくいくわけないか…」 今日も誰か知らない人と体を重ねて一日を終える。 あの日から彼女の姿が思い出されて他の人を抱いてるのに彼女の姿を重ねながら事に及んでいた みたい…本当のよがる姿…どろどろに溶かして甘やかして…懇願させて…俺じゃないとダメな体にしたい…そこに想いも乗るともっと嬉しい… そんな日々を過ごしたある日、彼女の彼氏である芙蓉さんから連絡が入った。 「成兼さん。いいですか?」 「芙蓉さん?何ですか?」 「お願いがあるんです」 芙蓉さんがこう言ってきたのは初めてのことで おそらくとても大きなこと 「うちのやつらが取引先の男性を脅しているんです…」 「…まさか…」 「えぇ…薬で自由を奪いうちの部署の奴等や他の奴等を呼び…彼の体を散々…相手方は長く懇意にしている会社の人で…俺の…後輩の父親なんです…俺一人じゃあいつらに直ぐに気づかれてしまう…それに俺は学生の身です…自由が効かない。誰よりも優秀な貴方しか信用できない…だから…助けて…」 切羽詰まったような芙蓉さんの声に頷いた 「わかった。どっちにしても片付けないとならないこともあったし…ただ奴等はかなりの手練…時間はかかるかもしれない…」 「俺も出来ることはします。お願いします」 こうして彼らを調べ始めた。 父親は水無月 陽平。 息子が美空…。妻である美音は亡くなっていて… 過去のことを遡りながら調べると彼らが歪んだ関係にあることを突き止めた。 彼らの自宅へ向かい漏れ出る光の奥…親子で体を重ねている姿が目に入った… そんなつもりはなかった…でも…俺は彼らのその姿を動画に納めていた… 理由は…息子が…先日であった彼女と良く似ていたから… まさかそんなことはあるはずない…そう思ってはいたが決定的な姿を見つけてしまう。 ある時。制服で戻ってきた彼。それから数分後彼女が現れた… 「マジかよ…」 水無月家に女性はいない…ということは… どこかへ足早に向かう彼女?彼の姿を追う。隣の家に立ち寄ったら綺麗な顔立ちをした男が出てきて二人ならんで歩き出す… 二人の姿はよくお似合いで…きっと男は美空君のことを特別な感情で見てる…同じだからわかる。彼が同性しか愛せない人だってこと ついた場所は先日会った場所の程近く。二人は一件のカフェへ入っていった。 「ここ…芙蓉さんのバイト先…」 芙蓉さんはうちを休んでるときはカフェでバイトをしていることは知ってた。彼は昔からお菓子作りが好きでここはそれをさせてくれると話していたことがあった。 女性限定のカフェ…だから彼は彼女になっていたんだ。 芙蓉さんは彼女が美空くんだと気付いてない?…うん。気付かなそう…そう言うのは鈍感そうだから。 今でも美空くんが彼女と同一人物とは思ってない。じゃあ付き合ってるのは…嘘?俺のナンパから助けるためのもの… だったら…俺頑張ってみてもいい?て言うか… 「やっぱ俺男しかダメなんだ…」 本能的に彼女を男性だと気付いていたんだろう。そんな自分に苦笑する… でも今はそんなこと言っている場合じゃない。 不適切な関係になるときは決まって奴等と彼の父親が接触したとき…ということは… 多くの情報を集めあと少しで奴等を纏めて処分できそう…後3日ってとこかな…

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