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第77話

「もしもし。成兼さん」 もう少し…そう思い、詰めに入っていた時、珍しく芙蓉さんから電話が掛かってきた 「珍しいね。いつもはメールなのに」 「水無月が…あ。息子の方が狙われてます。まだ全て終わりませんか?」 芙蓉さんの話によると週末出張で父親が家を空けるから代わりに美空くんを手込めにしようとしてるらしい。 …そんなこと…させない…彼がどれだけこれまで傷付いてきたのか俺は知ってる…初めてを輪姦されて奪われて…その後多くの人と関係を持つことでしか自分を保つことが出来なくなって…幼馴染みである先日の彼…睦月くんのお陰でやっと平穏を取り戻し…芙蓉さんを好きになって…毎日幸せそうにしてた…それをうちのやつらが父親をあぁしたことで唯一の家族である父親と体を重ねなければならなくなり…そんな自分では芙蓉さんを好きでいる資格なんてないって思い込んで…全部全部抱えて…小さな体で一人で耐えて… そんな彼を…これ以上傷付けさせない… 調べて行くうち彼が芙蓉さんに恋をしていることを知り…失恋は決定したけれど彼を助け出すことができれば本望だ… 「後数日で…今日っていうのは厳しいな」 「そうですか」 「…俺でなんとかして匿ってみるよ。君のところだと何かとあれでしょ?」 一先ず彼を一人にしておけない…だから…俺が匿う…数日でいい…いい思い出になるかもしれない…二人で過ごせる最初で最後かもしれないから… 「すいません…お願いします」

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