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第83話

俺に行き先は全て任せて目を伏せた美空くんの横顔は綺麗だった。信号で止まる度横目でこっそりみやる。 しばらくして目的の場所について美空くんを残し靴を選ぶ 「少し待っててね」 「はい」 おとなしく首肯く美空くんをそっと撫でて店に入る 「いらっしゃいませ。成兼さま」 「おはようございます。前田さん」 「今日はどうされました?」 「友人に靴をあげようと思って。」 「プレゼント…ですか?」 「はい」 「成兼さま。不躾に申し訳ございませんがその方とはどういったご関係ですか?」 「え?ん~…友人?知人?」 「恋人…ではないですか?」 「だったらうれしいけど。残念ながら違いますよ」 「…あの…靴のプレゼントが意味を持っていることはご存知ですか?」 「…私の近くから去りなさい…もしくは私を解放して…私を自由にして欲しい…だったかな?」 「はい…送る相手によっては気分を害される場合もあるかもしれません…」 「大丈夫。あの子はそういうの気にしない人だから」 むしろ…それを知っていても問題はない…俺の届かない気持ちは解放して欲しいから… 「大丈夫だよ。ご心配ありがとうございます。事情があって履ける靴がないだけだから。前田さんおすすめの靴下さい」 前田さんは奥から履きやすそうだけどスタイリッシュな靴を出してきてくれた。 流石だ。俺の好みわかってる。 「ありがとうございます。じゃあ。また来ますね」 「ありがとうございます。」 前田さんの言葉を背に受けながら車に戻り靴を渡す。 「はい。これ。履いてみて」 渡した靴の箱をワクワクしながら開ける美空くん。足をいれた途端喜んだけどそれは一瞬で焦り出した。 「お金!」 なるほど…多分値段を気にしたんだな…そんなのいいのに… 「いいよ。俺社会人だよ?高校生に出させるわけないでしょ。もらって」 「でも…」 …これじゃあおとなしく受け取ってくれないな…だから… 「その分体で払って」 そういえばおとなしく受け取ってくれるって確信してた。 「…あ…わかりました」 「ふふっ…いい子」 ふわふわの髪を撫でると気持ち良さそうに目を細めた

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