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第86話
その後も特に用はないけれどまだもう少しだけ恋人気分を味わいたくて俺の好きな場所へ連れ回した。
その間も合間であいつらを貶めるための準備は怠らなかった。お陰で今夜中に言い逃れられない証拠が揃いそうだ。
そろそろ帰宅してもいい頃合いになった。キュッと急に俺の服を引く美空くん。
「璃人さん…帰りたい…」
申し訳なさそうに言う彼。あぁ…俺の好き放題やっちゃったから疲れたんだ…楽しませるつもりが逆効果だった…ごめんね…余裕なくて気がつけなかった…最低だな…俺…
「疲れちゃった?じゃあ帰ろうか」
車の中では昨日と同じようにずっと美空くんの手を握ってた。
「璃人さん。凄く楽しかった」
「え?そう?」
「うん!俺ならきっと一生縁のなかった場所に連れてってもらって本当に嬉しかったんだよ」
「…無理しなくていいよ。俺自分のことしか考えず君の行きたい所聞かなくてごめん」
「ううん!無理してない…ただね。俺の身の丈に合わないかなって…そう感じたとこもあったから…何だか璃人さんがとても遠くに見えて…だから…早く帰って…璃人さんとくっつきたくて…って…俺何言ってるんだろう…」
想像していなかった言葉が投げられて正直動揺した…もっと…俺の近くに…そう思ってくれてたってこと?…凄く…嬉しい…あまりにも嬉しくていい言葉見付からなくて…
「それって俺といいことしたいってことかな?」
我ながら残念な人だな…そんなことを思って苦笑する。隣では頬を染めうつ向く彼がいて…もう十分…お腹一杯だ…凄く幸せだったこの数日…君の色んな顔見れて本当に…思い出をありがとう…
色々と考えてたら自宅についた。食事をとりお風呂の時間。
「おいで。美空くん」
美空くんが決心したような顔をしてた。何事かな?わかんないけど…
「はい」
「美空くん。お風呂先使う?」
「あの…一緒に…」
え?あ…そういうことね…今日こそ抱かれるって思ったんだね。本当に…可愛い人。
「ん?いいの?」
「璃人さんが大丈夫なら…」
さ
「オッケー。準備したら行くから先いってて」
「はい…」
緊張する…美空くんの前で自身を静めたままいられる?いや…無理だろ…トイレで少し熱くなった自身の処理を十分にして風呂場へ向かう。
もう体も洗って湯船につかってるはず…そしたら美空くんの裸体を少しでも見なくて済むから大丈夫なはず…
ゆっくり扉を明け中に入ると彼がポカンとした顔で俺を頭の先から爪先まで凝視する。そんなに見られたら恥ずかしい…
「なぁに?そんなにみつめて」
「いや…かっこいいなって…」
「何それ」
本当に…何それ…そんなこと言われたら照れるんだけど…
散々たくさんの人に言われてきたけど好きな人に言われるのはこうまた別次元の話で…
「何かスポーツしてるのですか?」
「んー…昔はバスケとかやってたけど最近は簡単な筋トレくらい?好きなんだよね。動くの」
冷静に冷静にと自分に言い聞かせながら体を清めた
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