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第89話

暫くして寝室を覗くと眠気には勝てなくて眠ってしまった美空くんの姿。側に寄ってその柔らかい寝顔を見つめる。額にキスをして寝室を出て俺はリビングで寝ることにした… 早めに目が覚めたから気持ちを切り替えるため冷たい水で顔を洗って無心で朝食の準備をしてまだ幸せそうに眠る美空くんを起こしにいった 「おはよ」 「おはようございます」 念のため夕方まで一緒に俺の部屋で過ごしてもらって夕方になり家に送った 買った服や小物達は無理矢理押し付けた。家にあったら思い出してしまうから…要らなければ処分してもらっても構わないからと強めにいったらしぶしぶ受け取ってくれた 「じゃあね」 「璃人さん」 「ん?」 「あの…お友達にはなれませんか?」 本当に…君は… 「側にいたら俺が辛い…ごめん…好きになってごめんね」 「璃人さん…」 「またどこかで偶然に出会えたときまだ友達なりたいって思ってくれていたら…そのときは…じゃあね」 車のバックミラー越しに彼を見る。角を曲がるところまでずっとそこで見送ってくれていた。 自宅に着くと父が来ていた 「璃人。悪かったな。」 「いや。大丈夫。それで水無月さんが救われたなら」 あの会社は円山にとっても大きな変革をもたらしてくれた大切な企業。だからこそ守りたかった相手だったのに苦しめてしまった。 「俺がもっと早くあそこを何とかしていたら…」 「今さら言っても仕方がないでしょ。これからまた同じようなことが起こらないようしていくだけ。あの人は凄く仕事が出来て本当はいい人だってことも俺は知ってる…信じたくなかった…それは昔から知る人なら…そう…事実を認めたくなかった…そうしたら…こうなった…もう…誰も…同じ目に合わせない…俺も一緒に考えるから」 「ありがとう…」 実はあの首謀者は父の後輩にあたる 俺が父の息子だと知っている数少ない社員の一人だったから酷く落ち込んでいた。

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