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第97話

夏南side たくさんたーくんと話して被験者になることにした。怖くないと言えば嘘になるけれどでもどんなときでもたーくんが側にいてくれるから…だから 今日は面談がある。被験者になるにあたって多くの説明を聞き最終結論を出すのだ。 始めは研究所での面談って言ってたけどそれだと変に緊張しちゃうから場所はこちらで決められないかと話した。そうしたら快諾してくれた。 いつも行くレストランバーを指定して待ち合わせをした。 本当は研究者の筆頭の人が来るはずだったけどその人はその前に別の面談があるようで先に行っておくように言われた。代わりにこの薬をここまでするために協力したまだ学生だと言う人と待ち合わせをすることになった。 実は彼のレポートにより作ったものがうまくいったのだと言う。 「どんな子かな…学生さん。大学生?かな」 どんな人なのかドキドキしながらしながら向かうと背の高いモデルみたいな人がそこにいた。背がすらりとしてて手足も長くて短く切られた黒髪が印象的で羽織ってるロングのカーディガンも難なく着こなしてて…今時の子って感じだしそんなレポートなんて書きそうにないくらいイケメンで…ってこれは偏見になるかな?でも本当に驚くくらいカッコ良くてたーくんやりーくんで見慣れているはずなのにドキドキした。 「こんにちは。国光夏南さまですか?」 やっぱり彼らしい。…意外だ… 「こんにちは。そうです。国光です。今日は宜しくお願いします」 「木築 茜です。お忙しい中ご足労いただきありがとうございます」 「うわぁ…近くで見るとますますカッコいい」 「え?」 「モデルさんみたい。ううん。モデルさんよりカッコいい。モテるでしょ?」 「夏南さんも綺麗です。モテるんじゃないですか?」 「俺なんかは全然だよ!!周りがカッコいい人ばっかりだったから俺みたいな平凡なやつがモテるなんてありえない」 「は?…平凡?…無自覚?…天然?…」 「でも意外…そんな難しいの書けるなんて」 「俺…今交際している人がいて。彼と将来は結婚したくて。まぁ何があってもしますけど。俺の母親が子供がたくさん欲しい人で母の思いも叶えたいし俺はあいつ意外と添い遂げたいとは微塵も思ってないから何とかできればと…俺の我が儘を叶えるためにあれを提出したんです。そしたらこんな風に…」 「そうなの?すごいね。まだ若いのに将来設計立ててそれを実現するために動けるなんて」 茜くんは聞けばまだ高校生。交際してる人は幼馴染みで今は同棲中。話してみたら普通の高校生とそんなに変わらない。わかることは交際相手のさなえくんをとても愛してるってこと。それも怖いくらいに…深く どんな手を使ってでも手にいれたかったと爽やかな笑顔で怖いこと言ってた。もしうまくいかなければ閉じ込めてやろうとそのために今の家は買ったらしいこと。これだけ深く愛されている子はどんなの子なんだろう? 「ねぇねぇ。さなえくんの写真とかないの?」 「ありますよ」 そして開いた写真のフォルダは全てさなえくんで埋め尽くされてた。すごくすごく美人さん。女の人より美人だ… 「さなえはねこれだけ綺麗なのに本当に無自覚で凄く心配なんです。すこしでも自分の綺麗さを理解してくれたら多少は安心できるんだけどなかなかわかってくれなくて」 面談場所に着くまでさなえくんの話を延々と聞かされた。 とても幸せそうに笑う姿。画面の中のさなえくんも幸せそうに笑ってるからこの怖いくらい重たい愛を受け入れているんだと思うとなんだかある意味羨ましい気もした 「すいません…さなえのこととなると口が止まらなくて…」 「いいよぉ。幸せそうな顔見れて嬉しかった。この薬早く認定されるといいね。俺。頑張る」 茜くんの話を聞いていてら悩みはなくなった。彼の夢を叶える手伝いがしたいと素直に思えたから。 沢山のメリットもデメリットも聞いた上でちゃんと了承した。あとからきたたーくんにも理解してもらって俺を支えてもらえるようお願いした。 女性の妊娠よりもやっぱり危険は大きいみたい…だけどたーくんと一緒なら乗り越えていける… 「ではこちらにサインを…」 こうして暫く…妊娠が確認された…安定期までは極力無理はしないよう会社の人たちも協力してくれた 「たーくん」 「どうした?」 「…気持ち悪いよぉ…」 とにかく悪阻が酷くて…女の人を尊敬する…小さな小さな命を育むためこんなにきつい思いしていたんだ… 妊娠中なのに体重はどんどん減るし…ご飯は受け付けないし…不安で不安で… 何とか安定期を迎えてゆっくりゆっくり過ごして大切に大切にしてきた

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