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第104話
見送ってしばらく親父から電話がきたので円山のオフィスに来た。用件は大したことなくて単純に俺の顔が見たかっただけのようだ
父と会話をして少しだけ気持ちも浮上し帰宅しようとオフィスを出た。駐車場に向かう道すがらふと目をやると見覚えのある姿を見つけた
大きな荷物を抱え足取りが危なっかしい…声を掛けずにいられなくて
「さなえくん?」
彼を呼び止めた。
「璃人さん…」
振り返った彼は更に目を赤くしていて瞼は腫れぼったくなっていた。何があった?…きっと彼が泣くのは茜くんのことを思うとき…
呆然としているさなえくんの手を引き駐車場までそのまま連れていき車に乗せる。このままだと変な輩につれていかれてしまう…
「璃人さん…あの…」
「家出?凄い荷物だけど。取り敢えず俺んちこの近くだから泊まっていきな」
「でも」
「明日バイト先にも送っていってあげる」
弱っていたのかさなえくんは警戒することなく素直に頷いた
良かった…変なやつに連れていかれる前で…こんなんじゃ他のやつにも素直についていっていたかもしれないから…
もしそんなことになったら…身震いした…
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