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第124話
琢磨side
「…璃人のこんな顔初めてみた…やっぱ綺麗な顔してんのな」
そっと酔い潰れ眠る璃人の髪を鋤く。さらさらで綺麗な髪。寝顔は凄くあどけなくて…子供みたい。いつも泊まりの時は先に自分が寝ていたから璃人の寝顔は見たことなかった。だからとても新鮮だ
思わず笑みが溢れる。
prrrrr…
また鳴ってる…見てはいけないとわかってはいるけれどそっと画面を確認する。
やっぱり…
『高遠 瑪瑙』
表示されているのは璃人のパートナーである高遠さんの名前。
「悪いな…璃人…」
『もしもし!もしもし!!りとさん!どこにいるの?』
「もしもし」
『誰…』
うわ…すげー怒ってる…
「さぁ…ね…浮気したあんたに答える義理はないね」
『は?』
「璃人なら俺の隣で寝てるよ。可愛いよね。」
『りとさんに…何した…』
「璃人に何のよう?帰りたくないんだって言ってたよ。こんなにいい子なのに…君は酷いね。このまま貰っちゃいたい…いいでしょ?」
『渡さない……誰にも渡さない…』
「自分はいいのに璃人の浮気は許せないの?最低だね…あんた」
『浮気?してない』
「俺が納得できる説明してくれる?そうしたら返してあげる。でも納得できなければそのまま璃人貰うから。これから言う場所に来て」
勿論高遠さんが浮気するなんて微塵も思ってない。
でも璃人が傷付いたのは事実で…だからちゃんと話したい。
璃人がもう傷つかないように…璃人が誰よりも幸せでいられるように…
かつて俺が奪ったものは大きくて…
そんな俺と未だに仲良くしてくれる大切な友人だから…
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