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第126話
琢磨side
「あの日たまたま外に出たら近くの店の子が来て。ゴミがついてるって引っ張られて避ける間もなくそのままキスされました…それをりとさんに見られた。確かに彼には告白された。でもはっきりと断りました。今後もりとさん以外考えられません。それは断言します」
高遠さんの瞳を見つめる。嘘偽りは感じられない。
「ねぇ。高遠さん」
「はい」
「璃人はね。わかってると思うけど一人で全て解決しようとする。弱味なんてあまり見せない。…俺ね。璃人のこと傷付けてきた。これまでずっと…俺はね璃人の大切な人を奪った…」
「…あなたが…」
「…そう…俺が高校時代に璃人の恋人を奪った…張本人。璃人とは小学校から一緒の幼馴染み…親友だって…璃人に言ってもらってた…だから…こんな俺があんたに意見できる立場でないのもわかってる…でも…だから…璃人にはもう傷付いて欲しくない…あいつを傷付けないで…あいつを誰よりも優先して?…」
俺が奪ってしまった幸せを貴方が璃人に与えてあげて欲しい…
「貴方には感謝しています。もし貴方が夏南さんを奪ってくれなければ俺はあの人に出会えなかった。だから…。俺とあの人を…璃人さんを出会わせてくれてありがとう。俺はあの夏の日からあの人を思い続けてきた。あの人の一途な瞳に俺は囚われた…俺と璃人さんを繋いでくれた小さな小さな璃人さんのガラスのような脆い心の欠片を一つ一つかき集めさせてくれた…
俺はこれからもあの人を愛し続けると誓います。それは他の誰でもない俺がやりたいことだから。俺はりとさんが何よりも必要でりとさんにも俺を必要とされたい。愛してるんです。」
「めの…さん…」
「りとさん…りとさん!!」
どこから聞いていたのかはわからない。でもあんな姿の璃人は初めてみた。子供のように泣くあいつの姿…
璃人は他でもないあの人だから本当のあいつでいられるんだ…
そう理解すると何だか嬉しくて何故か俺の目からも熱い雫が零れた
「琢磨?」
「悪い…何だろうな…」
「国光さん。ありがとうございました。これから話してみます。りとさん。一緒に帰ろ?」
「ん…琢磨ありがとう」
「いいえ。またね」
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