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第1話

「早く来ないかなぁ~」 1人ポツンと、ベンチに座っているのに飽きて、外を眺めながらそう言うた。 最初見た時は僕の好きな青やぁ、って感動した建てる前から話題だったタワーもずっと観ていれば暗闇で必死にもがく僕みたいでイヤになってきた。 待ち人の情報は顔、あとは『ブラッドセーフ』という合言葉だけ。 僕も顔とネームしか教えとらん。 この方がやりやすいし、楽。 今までもこんくらいの距離感の関係でやれれば良かったんにな。 そうこう言っているうちに誰かが隣に座った気配がした。 「合言葉をお願いします」 そう言う優しい声がスッと耳に入って来た。 「ブラッドセーフ」 そう小さく、でもはっきりと言うと、その人は静かに立ち上がり、僕の前で手を差し出した。 「サタです。今日1日よろしくお願いします」 顔を上げて、サタと名乗った人の顔を見る。 黒髪に色白の長い顔で、ポテッとしてはる赤い唇が三日月に沿ってはって、とても美しい。 これから僕はこの人に全てを捧げる。 この人を見つけた時に決めて、今も揺らいでない。 今、喰われてもええなぁと思って唾を飲み込む。 「キオです。今日が最高の1日になるように、頑張りましょうね」 僕は負けじとキラースマイルを浮かべて、その手を取った。

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