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第4話
歩いて10分くらいの所に和菓子とご飯のお店を見つけて入る。
2人席に案内されて、俺たちは向かい合って座る。
もちろん、キオを奥の席に座らせたで?
「兄ちゃんの奢りやから、好きなの好きなだけ頼みや?」
そう言うと、え~じゃあとはしゃぐようにメニューを開いて1つ1つ指していく。
「ラーメン、唐揚げ、カレー……でもなぁ、こんなに食えるかなぁ」
そう言うて口を尖らせとるキオを見て、微笑ましくなる。
無理はさせたくないけど、お腹いっぱいで満足してほしいから……キオの為にも、俺の為にも。
「兄ちゃん、焼き鳥だけやからわけわけして食べてもええよ」
「ほんまに? じゃあわけわけしよう!」
んふふっと笑うたキオはほっぺたを赤くして、店員さんを呼んだ。
「うんまぁ、めっちゃうまいやん!!」
パクパクと食べていく姿に若さを感じる。
「キオ、ゆっくり食べや? 喉に詰まらすで」
そう言うた矢先にむせて、水を飲むキオに苦笑いをする。
「今度はゆっくり食べぇよ」
そう優しく言うて、焼き鳥の串を1本唐揚げの皿に置く。
「ありがとう! 代わりにカレー食べてぇ~」
そう言うて、キオは笑顔でカレーの皿を俺の方へ差し出してきた。
「わけわけやから、いっぱい食べてなぁ」
そう言うて、ハムスターのようにほっぺたいっぱいに詰め込んで、幸せそうにしとる姿にこっちまで幸せな気持ちになる。
あんまり食べへん俺やけど、キオの食べっぷりにおいしく見えて1口、また1口と食べてまう。
言うてもうた手前で食べてるんや、と言い聞かせながらキオのラーメンと唐揚げももらった分は食べた。
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