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第8話
準備した後、感覚でもうええかなと思うて、脱衣所で服を脱ぎ、浴室のドアを開けた。
そこには泉で水浴びをしとるヒューラスがおって目を疑った。
「どうしたん? 兄ちゃん」
その声にハッとすると、シャワーを浴びながら黒髪をオールバックに流しとるキオが人懐こく笑っとった。
綺麗やと、思うた……純粋に。
男同士って何回かあるけど、もうなんか……アカン。
オスの匂いがむっちゃする。
「この匂い、イヤ?」
その言葉にドキッとしたけど、そんなことないで……と平静を装いながら言うた。
「良かった……僕、ラベンダーの香りめっちゃ好きやねん」
……ラベンダー?
頭にクエスチョンマークを浮かべながら辺りを見回すと、紫がかった水の色が目に入り、ふわっと香りが鼻を掠めた。
「ええなぁ、なんか落ち着く」
「そうやんなぁ……」
んふふっと笑うたキオは変わっとらんはずやのに、キュンとした。
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