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第10話
上がって先にキオを拭いてから自分を拭いた後、俺は黒のガウンでキオは藍色のガウンを着た。
ベッドの近くの背もたれのない椅子にキオを座らせ、俺はベッドに座って、キオの髪をドライヤーで乾かす。
クシャクシャにならんようにふわふわと髪を優しく撫でると、気持ちええなぁと声を漏らすキオ。
男の髪を自分から乾かしてあげようと思うたのは初めてやった。
なんとなく指通りが気持ちええし、綺麗に整えたらなアカン気がするんや。
……なんか、恋人同士みたいな気がしてきたわ。
ドライヤーを終えた後、俺はキオの頭にキスをしてサラサラと髪を梳く。
「兄ちゃんの髪は?」
「自分で適当に乾かすわ……早めに済ますからちょっとだけ待っとってな」
そう言うてポンポンと頭を撫でたら、あんなぁ、とのんびりと声を上げたキオ。
「兄ちゃんの今の髪の感じ、めっちゃ好きやねん。やから、乾かさんと自然にしててほしいんよ……どうかな?」
「わかった。このままにしとく……キオがええって言うてくれるん、むっちゃうれしいわ」
そう優しい声で言うたのに、キオはうつむいてしもた。
機嫌悪くしてもうたんかな……。
「兄ちゃんってずっとこんな感じなん?」
俺はその言葉の意味がわからんかった……ええ意味なんか、悪い意味なんかさえ。
「兄ちゃんにとってはいつも通りならええけど、無理してるなら言うてなぁ……こんなに優しくされたことないから勘違いしてまいそうで怖いんよ」
無理なんてしてへんよ?
勘違いなんてしてくれてええから。
……ん? ええの?
それは本来の目的の為? それとも
ちょっと待って
それともって何?
なんか俺の頭ん中がパニックになって、なんて返したらええかわからん。
キオも黙ってもうて、静かになる。
しばらくして、キオがいきなりアハハと笑い出した。
「それだけ僕がお返しせなアカンってことやんなぁ……わかった」
そう言うて、キオはベッドに寝転んだ。
「もうグッチャグチャにして……兄ちゃんがええように」
キオはそう言うてペロッと舌舐めずりをして、ニッと笑った。
俺はそれを見て、勝手に身体が動くような感じでベッドに上がった。
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