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第11話

サタはキオの後頭部を包み込むように左手を差し入れ、ゆっくりと自分の方へ近づけていき、噛みつくようなキスをする。 「兄ちゃ……なに、アッ……」 何度も向きを変えながらキオの唇を食むサタに必死についていこうとすると同時に気持ち良さで喘ぐキオ。 「兄ちゃ……にい、ちゃ……」 ハゥと息を吐いたサタはキオの唇から離れると、キオの藍色のガウンの紐をシュルンと解き、襟を引っ張ると同時に首筋に強く吸いつく。 「はあっ……ああっ!」 そのままサタは下へツウッと舌を滑らせて、ピクンと反応するところにプチュッと赤い痕を付けていく。 荒い息のままそうするサタをキオはなんとか目だけで見ると、鋭い瞳で力が無理に入っているように見えた。 「兄ちゃ……力まんといて」 キオはフッと優しく笑い、自分のおでこをサラッと撫でた。 サタは引き寄せられるようにゆっくりと上がってきて、コツンとおでこを重ねた。 「愛なんかいらん……そんなんなくたって生きてこれる」 「兄ちゃんのええようにせな、アカンよ? 」 「いつも通りに焦らんとやってええから」 「愛のある行為ちゃうんやからね?」 サタに言い聞かせるようにぽつりぽつりと話すキオに瞳が虚ろに変わっていくサタ。 「わからんくなってきた」 「俺らしいってどんなんやったか、今までどんな風に処理してきたか……わからん」 自信なさげな弱々しい声でそう言うサタにキオは目を閉じた。 数秒経つと、キオはゆっくりと目を開けて話し出した。 「じゃあ、今だけこう思って? 」 「僕の全て兄ちゃんのもんて」 それを聞いたサタは確かめるようにこう言った。 「……俺のもん?」 「そう、兄ちゃんの所有物やって」 「僕は壊れたってええからさ」 キオはそう言うと、サタの両頬に手を当ててリアムの顔を少し遠ざけた後、軽くキスをした。 サタは数秒ボーっとしたが、すぐ後に妖しい笑みを浮かべてキオを見る。 「じゃあ、今だけりーにぃって呼んでや」 思いがけない提案にキオは目を丸くする。 「りーにぃ?」 確かめるようにそう呼ぶキオにサタは心がホワンと温かくなる感覚に陥る。 「もう1回言うて」 思わず要求をするサタにキオはなんとなくうれしくてふふっと笑う。 「りーにぃ」 今度は親しみをこめるように呼ぶキオ。 サタには懐かしいある人のように聞こえ、ジンと沁みると共にその人のように接したくなった。 「おん、りーにぃやで」 サタは穏やかに微笑んで優しく髪を撫でた。

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