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第16話
「りーにぃも気持ち良かった?」
「おん、むっちゃくちゃな」
それを聞いたキオは良かったぁと言うたものの、もう目は半分も開いていなかった。
「ごめん、ちょっとだけ寝かせて……起きたら、ちゃんと血を、存分に飲ませたるから」
そう言うてなんとか口角を上げるキオ。
「ええよ……ゆっくり眠りや?」
サタは優しく微笑みながらキオの頭を右手で優しく撫でる。
「うん、ありがとう……」
そう言うと、キオは寝息を立て始めた。
サタは何度か頭を撫でた後、軽く唇にキスをして、ベッドから降りる。
濡れタオルを持ってきて、ベッドの脇にあるティッシュをベッドの空きスペースに置き、キオの身体を拭き始めた。
「……おかん、なにぃよぉ?」
ふふっと笑いながら寝言を言うキオに、少し微笑むサタ。
サタはふと、キオは風呂場で語っていたことを思い出していた。
『僕ね、生まれたらあかん子なんやて……有名な政治家と愛人の子』
『愛人……僕の母は僕を隠して産んで何個も仕事を掛け持ちして僕を育ててくれた』
『でも、ある日眠るように死んでもうた……過労死やったって』
『せやから僕はホストクラブでボーイし始めたんやけど、綺麗な顔しとるからってホストにスカウトされてな……気づけばNO.1になっとった』
『だから、僕……兄ちゃんの気持ちわかるよ』
そう語って、悲しそうに笑っていた。
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