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第17話

『でも、イケメンやって有名になっちゃって、父らしいやつにバレてもうた』 『そいつに言われたんよ……お前は生きてちゃあかんやつや、無理して生きたいなら性奴隷になれ、死んでもええなら臓器を売ったるって』 『僕、どっちもイヤやった……あいつの物には絶対になるもんかって強く思うたんよ』 『そしたら、兄ちゃんを見つけた』 『兄ちゃんは血をもらえる、僕は姿を消せる……どっちも幸せになれるやんね』 『ありがとう、兄ちゃん』 そんなに辛い過去があるのに、今は穏やかな顔をして寝ている。 今なら、俺の過去もええかな……と思ったサタ。 「俺、元々は人間やった……律仁って名前で詐欺師のクソなやつ」 「そんな俺にも弟がおってな、調子良い時だけりーにぃ言うてきよった」 「いっつも一緒におってわかっとったはずやのに……悩んどったことに気づいてあげられんかった」 「自殺してもうた……遺書はたった2文。『兄ちゃん、ごめんな 好きやったよ』」 「俺、哀しくて哀しくて狂ってもうたんか吸血病になってもうてな……そんで、今の仕事に出会ってん」 「ある吸血鬼に頼んでほんまの吸血鬼にしてもろうた」 「世の中は理不尽やな」 サタはそう語り終わってやっと手を止め、ポロポロと涙を流した。 俺はほんまにキオの命を奪ってええのか……なんとも言えない感情がサタの中に渦巻いていた。

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