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第20話
キオはゴクンと喉を鳴らした。
俺は少し口角を上げて、喉に親指を当てて首に右手を滑らせた。
サラッと噛み跡に触れたのを感じたのか、ハッと声を上げて微妙に震えた。
最初は怯えかと思うたんやけど、なんかちゃう。
むっちゃ鼻触っとると思えば、頭をブンブン振っとる。
……なんか別なもん我慢しとる気がする。
「ごめんやけど、ちょっと確認してもええ?」
聞いた方が早いと思うてそう言うと、さっきより気持ち低い声でええよ、兄ちゃんと言うてくれた。
「じゃあ、キオ。俺の目をちゃんと見て答えてな?」
それを聞いて、キオはゆっくりと目を開け、俺の顔をしっかりと見てきた。
見下ろす感じになっとるキオを見て、こんな顔もするんやぁとちょっと驚く。
「キオは誰のもん?」
それを聞いて、キオはふふっと笑った。
「兄ちゃんのもんやで。身体も心も……全部」
正解の答え。
なのに、じんわりと心に沁みた。
「こんな僕に優しくしてくれてありがとう……好きやで、兄ちゃん」
そう言うてキオはギュッと俺に抱きつき、背中に手を回した。
キオの想いを消化しきれへん俺はもっと強く抱きしめて、首に顔をうずめる。
キオは全身の力をフッと抜いた。
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