21 / 23

第20話

キオはゴクンと喉を鳴らした。 俺は少し口角を上げて、喉に親指を当てて首に右手を滑らせた。 サラッと噛み跡に触れたのを感じたのか、ハッと声を上げて微妙に震えた。 最初は怯えかと思うたんやけど、なんかちゃう。 むっちゃ鼻触っとると思えば、頭をブンブン振っとる。 ……なんか別なもん我慢しとる気がする。 「ごめんやけど、ちょっと確認してもええ?」 聞いた方が早いと思うてそう言うと、さっきより気持ち低い声でええよ、兄ちゃんと言うてくれた。 「じゃあ、キオ。俺の目をちゃんと見て答えてな?」 それを聞いて、キオはゆっくりと目を開け、俺の顔をしっかりと見てきた。 見下ろす感じになっとるキオを見て、こんな顔もするんやぁとちょっと驚く。 「キオは誰のもん?」 それを聞いて、キオはふふっと笑った。 「兄ちゃんのもんやで。身体も心も……全部」 正解の答え。 なのに、じんわりと心に沁みた。 「こんな僕に優しくしてくれてありがとう……好きやで、兄ちゃん」 そう言うてキオはギュッと俺に抱きつき、背中に手を回した。 キオの想いを消化しきれへん俺はもっと強く抱きしめて、首に顔をうずめる。 キオは全身の力をフッと抜いた。

ともだちにシェアしよう!