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第21話

「……あったかいな」 くぐもった声でそう言う兄ちゃんがくすぐったくて、ひゃあと声を上げた僕。 落ち着くようにふぅと息を吐いた後、こう言うた。 「まだ、生きてるからやね」 僕は目を閉じたままそう言うて、んふっと笑った。 まだ……やけどね。 「アカンわ」 兄ちゃんは首筋にキスをしはって、今度は顔を胸にうずめた。 「どうしたん? 兄ちゃん」 僕はゆっくりと目を開けて、兄ちゃんを見つめる。 「アカンねん」 つぶやくように言う兄ちゃんの頭を撫でる。 「……なにが?」 「吸われへん」 僕はびっくりして頭を撫でとった手を止めた。 「僕の血、おいしくなかった?」 兄ちゃんはフルフルと頭を振る。 「……嫌いになった?」 兄ちゃんはまたフルフルと頭を振る。 僕はそっかと言うてまた頭を撫でた。 兄ちゃんに嫌われてへんならそれでええ。 さぁ、どうしようかな……。 他の人紹介してもらおうか、とか他の手立てを探すしかないんかな、とか考えとったらギュッと抱きしめられた。 ひんやりとしていて、すべすべな肌がガウンの隙間から感じて、めっちゃ心良くて。 無意識なんか、僕の肌を長い指で辿って、フウッと吐く息と少し開いた唇の感じが色っぽくて。 ……アカン。 めっちゃ好き。 もう血を吸われんくてええから、兄ちゃんのそばにいたいって思う。 なんて、無理やんな……。

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