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第13話

時間にもなり会議室に行くと毎度のメンツが揃っていた。何度も会ううちに仲良くなり、今では時々飲みに行くほどの関係を持つ輩も数名いる。全員に会釈しながら自分のプレートが置かれた席に座ると、神崎社長は一番前の席に座った。 「それでは全員揃ったようだし、始めようか。まず初めに、各社の現状報告から」 神崎社長の指示で時計回りに各社の代表達が報告を始める。 この会議はそこまで大きいものでもなく、近辺の同系列の会社の身内会議のようなものだ。各社の話を聞きながらノートにメモをとる。ほかの会社の殆どは秘書や付き添いがおり、俺も前まではそれが遼河の役割だった。しかし遼河とこんな関係になってしまった今、他のやつに頼むしかないのかもしれない。ひとまず今日はセルフでいく。 暫く話を聞いていると、自分の体に何やら異変があるのに気づいた。先程から微かな頭痛があったがそれが本格的なものになってきた。ぼーっとしているような、よく頭が回らない。昼食をまともに取らなかったからか?それともストレスか。それを考えるだけでも頭が痛む。かなり重症なようだ。 しかし次は自分の報告の番。そしてそのあとにふたりが終えれば終了だ。耐えれる。耐えろ。こんな所で。 「以上です」 ようやく前の人が終わり自分の番になる。資料に書いてあることを読み上げるだけだ。直ぐに済む。 「それでは、報告を始めます。今期の我社の取り組みは…」 出だしはいい。このまま、俺の体力が持ってくれれば。 「その後、今月末からは、新たに対策を、行うよて、いで、」 やばい。呼吸が荒くなってくる。立つことさえも困難で、机に両手をつくと必死の思いで言葉を紡いで行った。そこにいる全員が不思議そうな顔をしてこちらを見る。プレッシャーも加算され、さらに頭が痛くなってきた。顔を上げると目の前の視界がグラグラと揺れる。前にいる神崎社長の姿が霞み始め、顔までもぼやける。 「斎藤くん?どうかしたか」 神崎社長の声が聞こえる。しかし、この距離にありながら数メートル先にいるような感覚だ。声がどんどん遠ざかっていく。体が傾いた。 ガタンッ 「さ、斎藤くん!」 「斎藤!おい、大丈夫か!」 ついに立てなくなった俺はその場に膝から崩れた。大きな音を立て座っていた椅子がズレる。呼吸がさらに荒くなり、頭痛も想像出来ないくらいに大きくなり、ガンガンと頭の中を金づちで叩かれているようだ。 そばにいた知り合い達が俺もとへ駆け寄り声をかけてくれるが、話すことすらもできず首を横に振ることしか出来ない。 最後に神崎社長の声を聞くと、俺の意識は落ちた。 「誰か、彼の会社に連絡を!」

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