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第24話
あれから二時間ほどたっただろうか。俺達はひとまず時間を潰すために、食事を買いに行った。ここは各階に小さな食品販売機があるため、そこでおにぎりを四つと自販機でコンポタージュを二つ買い部屋に戻った。
食事中には仕事の話で盛り上がってしまい、気づけば二時間という始末だ。お互いに仕事大好き人間のため、仕事の話をし出せばいくらでも話ができると判明した。しかし、折角なら仕事以外のことも知りたい。
「休日とかは何してるんだ?」
話に一区切りついたので、さりげなく問いかけてみる。北園は少し考えた後、答えた。
「休日は大体寝てますね。一日の半分以上は睡眠時間です。起きたらCD借りに行ったり、たまに服とか買いに行ったり」
北園の返答には正直驚いた。普段のイメージ的に、朝早くに起きて時間通りにご飯を食べて、あとは一日中家にこもって休日なのにも関わらず仕事をしているような。そんなのを想像していた。やはり聞いてみないと分からないものだな。仕事の時とプライベートの時が違うやつもいるから。
「要斗さんは何してるんですか?休日」
逆に問いかけられるとこれこそ悩んでしまった。到底面白いものなんてないし、休日なんて大体…。遼河と過ごしていた。
「あ…、すみません。なんか聞いたらいけない感じですね」
俺の様子にすぐに何かを察した北園は大人しく引き下がった。こういう人の気持ちを直ぐに察することが出来るのが、北園の長所だと思う。でも、こういうのも乗り越えないと忘れるなんて出来ないんじゃないのか。
「休日は、いつも遼河と過ごしてた。部屋でダラダラしたり、たまに外でたりして。夜は必ず、身体を重ねていた」
俺が言うだけでもとても辛いのに、俺の事を好きと言ってくれている北園からしたら更に辛いのだろう。でも今言わないと、あとから引きずってしまう気もした。
「そうですか…」
北園は少し俯き考えた後、俺の隣に来て頭を撫でた。突然の手のひらの感触に驚いたまま、その顔を見上げると静かに笑う姿が見えた。
「じゃあ、これら要斗さんの休日は俺だけのものですね」
その言葉がよく理解できずに首を傾げるとまた北園は楽しそうに笑った。
「大河内と一日中過ごす時間があったなら、これからはそれが全部俺のものになるんでしょう?朝から晩まで、ずっと要斗さんのそばに居たい」
ああ、と頭では理解したがそれよりも前に恥ずかしさが出てきた。意外とこいつ、キザな台詞吐くやつだ。こんなにも言われると心臓が持たなそうになる。でも、これほどの愛情表現が逆に嬉しい。今までに貰えなかった分を埋めてくれいるようで、心地良さが強い。
北園の隣は、意外にも暖かく感じた。
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