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第2話

2人が屋上の壊れかけた扉を開くとそこには殺伐とした空気が漂っていた。 「あ〜!ちな姉!ユージのお迎えご苦労様♡」 小さい体をピョンピョンと跳ねさせながら智菜に近づいてくる彼はシバ校副番長の健太郎だ。 「ケンタロー。おはよう。」 ユージは健太郎に向けて律儀に挨拶をする。 「うん!おはよ!ユージ!おーい!ヤスぅ〜!ユージ来たよぉ。」 ヤスと呼ばれる男は柵越しに後輩らしき人物と何かもめていた。 「っっせぇぇ!人はよぉ、んな簡単に死なねぇんだわ!」 後輩に怒鳴り散らすヤスを見るなり少し離れたところに座っていた男が微笑する。 「アハハっ。あのまま、先輩が骨折れるくらい殴って、血ぃ、た〜〜っっくさん出ないかなぁ?」 とても正気な目をしていない彼の名前は哀だ。 「アオ〜?そこにいると巻き添え食らうよぉ?」 健太郎は哀に手を振る。 「あ、じゃぁそっち行きまぁ〜す!」 ヤスと話している後輩は恐怖で涙を流し抵抗する。 「で、でもっ、この紐じゃぁ、絶対に切れちゃいますよ!」 ヤスは面倒くさくなったのか無言になる。 頭を掻くと「めんどくせぇ...。」とつぶやく。 すると後輩の背中を蹴飛ばし屋上から細い紐でバンジーをさせる。 「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ...。」 「...ありゃ?」 声にならない声で叫び落ちる後輩を他所にヤスは紐が繋がっていないことに気づく 「ま、死にはしねーか。せいぜい骨が粉砕するくれーだろうよ。」 そう言うとヤスはポケットから板チョコを出しかじる。 「やす。何しているんだ?」 一連の流れを見たユージはヤスに問いかける。 「あ?あぁ、ユージいたのか。ありゃぁ度胸試しってヤツだよ。あんなもんでビビってんじゃぁココには要らねーからよ。」 ユージはそういうものかと智菜と目を合わせるとヤスの方に向き直る 「そうか。そういうものなのか。」 そう言うとユージはボロボロの椅子に腰掛ける 「あっれれー?ねね、ヤス〜。もしもしもしかしてぇ、アレって。」 ケンがバンジーをした先を指さすとそこから出た手が柵を掴む 「ふぇ〜!びっくりしたぁ!壁登ってたら上から人落ちてくるんだもん!」 先ほど落ちたはずの後輩を脇に抱え麦わら帽子を首にかけた男が登ってくる 「兄ちゃーん!危ないから早く登って!」 その下で別の男が叫んでいる 「だいき...。」 ヤスがだいきと呼んだ男を見るとため息をつく。 「あ〜!やっぱりケンが落としたんだぁ。アハハハハっ!コレ、掴まない方が良かったかなぁ?」 だいきは抱えている男を捨てるように置き、ヤスに無邪気に笑いかける。すると思い出したように屋上から身を乗り出し下の男に手を振る 「つーばさー!登ってきて!早く!」 「あ、階段からそっち行くよ!また後で!」 つばさと呼ばれる男は駆け足で校内へ入って行った。

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