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第5話『ファーストキス』
正直のところ戸惑っていた。
だって、あのイケメンで有名な潤くんが
「他の奴と距離が近い」「心配になる」
なんて言いながら涙流しそうになってるんだもん。
うぅ……僕 涙流されるの苦手なのに…。
「っごめん、ごめんね潤くん。これから気を付ける、潤くんが心配にならないようにするから。ね?泣かないで?」
弟達に言うのと同じ感じになっちゃったけど…………これ以外の言い方は今の僕には思い付かなかった。
それでも潤くんは機嫌を直してくれたみたいで
「ふふっ、さすが弟が3人もいるだけあって
なぐさめ…って言うよりも あやしかた がうまいなぁ。
そういうところも大好きだよ。」
チュ。
ッえ、今口にふにって………………
「ッーーーキス!!??」
……僕のファーストキス……。
うぁ、心臓がうるさい……恥ずかしい……。
「そういう顔。見れるのは彼氏である俺だけの特権だもんね」
なんて言ってフワリと笑う。
……あぁ、かっこいいなぁ……ほんとに僕なんかでいいのだろうか………
「…ねぇ、潤くん?ほんとに僕なんかでいいの?潤くんならもっと綺麗な可愛い感じの子が見つかると思っーーーんぅっ」
またっ、キス‼‼‼‼
ーーーていうか苦しっ!
「ぷはっ…はぁはぁはぁ」
「ふふっ、とおるくん、キスで息止めちゃダメだよ」
また、潤くんの顔が近づいてくる…………
「ふは……んぅ……は……んっ…ふ……」
あ、足、力入んない………………ッも、無理。
ズルっ!
「ッおっと」
潤くんが支えてくれたおかげで、膝を地面に強打することはなかった。
「ごめ……じゅんく……ぼく、
はじめてで…なれてなくて…」
「全然いいよ。
むしろなれてたらショックかな。
ていうか、俺こそごめん。ちょっと調子乗りすぎた……立てそう?」
「ん、なんとか。」
「そう、ならよかった。
……えぇっと、今さらで申し訳ないんだけど
お昼ご飯、食べる?」
そう言われてやっと気づいた。
お昼時間あとちょっとしかない‼‼‼‼‼‼‼‼
「ぅあ!ヤバイヤバイ、急ご!潤くん!」
この後、
時間ギリギリにモグモグしながら戻ってきた僕は「何してたんだよー」と、絋に質問攻めを受けるハメになった……。
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