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※若干無理やりな表現が入ります。
仕事をしてしまえば今朝のことなんかすっかり忘れ、気づいたら帰社時間となっていた。
俺の中では今朝のことは何もなかったことにしたくて、少し不安ではあったがそのまま電車に乗り込んだ。
帰りは何も起こらなかった。
そうだよな帰りはないよな!と思う反面、今朝のことは触られたと勘違いしたことなんじゃないかとも思えた。
そう思えたら自意識過剰な気がして、なんだか急に恥ずかしくなった次の日。
やはり勘違いじゃなかったんだな、と思い知った。
火曜日の朝のことだった。
いつものように人に押し流されながら電車に乗り込んだ俺は、二駅分通過した頃には既に痴漢にあっていた。
ハァ、ハァ、と耳元で聞こえる荒い息遣いと時々スンスンと匂いを嗅いでいるであろう鼻息が気持ち悪い。
身動きが取りにくい車内で痴漢野郎は俺の尻を撫で回し、時々ギューッと跡が残るんじゃないかと思えるくらい鷲掴み、最後にはまた撫でてきた。
(俺…痴漢されてる……。男なのに……。)
ゾワゾワと悪寒が走り、今すぐここから逃げ出したくなる。
触られながら俺は必死に考えた。
今ここで痴漢がいると騒いでも、俺は男だから周りから不審な目でみられるだろうことは予測がつく。
それに、この行為はできれば誰にも気づかれたくない。
会社の人も使っているであろうこの電車で、変態に絡まれた、なんて会社にでも広まったら…。
周りの目や雰囲気が冷たくなっていくんじゃないか。
少し想像しただけでも恐ろしい。
思いついた選択肢はこれしかなかった。
あと一駅で最寄り駅につく。
そのタイミングでこいつからダッシュで逃げよう。
そう、それしかないんだ。
俺は気持ち悪さと必死に戦いながら、逃げることだけを考えていた。
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