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「かな?じゃねーよ知らねーよ! てか家どこだよ?」 「〇✕町」 「近っ! てか俺が朝乗る駅んとこじゃん!」 まさかの近さにびっくりした。 「ああ、一駅分歩くってやつか? まだ続いてんのか。 カナエちゃんに振られたのに可愛そうなやつだな、瑞希は。」 「勝手に憐れむな! いつか出会える嫁のためだ! カナエちゃんとヨリを戻すためじゃねえ!」 「じゃあカナエちゃんにが戻りたいって言ったら?」 「即戻る」 「即答じゃねえかよ」 クックックッといつもの喉で笑ってる声が電話越しでも聞こえてきた。 「なんだよもう…勝手に笑ってんじゃねー…」 はぁ、とため息を付きながらも俺も気が抜けて笑えてきた。 なんだろ。 居酒屋で話すことと変わんなくなってんな。 「よかった。 いつもの瑞希だな。」 さっきまでの感じはなんもなくなってて。 俺は気づけばいつものみたいに喋ってた。 こんなとこまで気にしてくれるなんて、ほんとこいつイイヤツすぎる。 「おう…ありがと、な。」 サラッと言うつもりがなんか引っかかった感じになって、でも翔太はちゃんと聞いてくれた。 翔太はそういうやつだ。 「おー。 てか腹減らねーか?」 そう聞かれる前からおなかはグーグー鳴ってた。 今日へこみすぎて一日なんも食べてないもんな。 ピンポーン!って音がしたのは、電話を切ってから30分くらいたった頃。 コンビニで買ったおにぎりとツマミ、ビールを持って翔太は家まで来てくれた。

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