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「代償」12

 喧嘩している生徒を見かけると仲裁をし、いじめも放っておく真似はしない。誰に対しても、ちゃんと向き合う。そんな泰明が困っているように、眉根を寄せていた。 「……少し取っ付き難いかもしれない。大丈夫か?」  伺うような視線を向けられ、「多分、大丈夫」と僕は頷いた。会ってみないことには対応のしようがないし、実際に自分がもし取り憑かれているのであれば早くお祓いしたかった。一緒に生活していくなんて、考えるだけでゾッとしてしまう。 「わかった。そいつの連絡先を知っているから、放課後に時間を作って貰えるように連絡しとく」  泰明はそう言って早速スマホを操作し、僕はそれは緊張した面持ちで凝視する。  神社の息子というだけで凄いうえに、まさか霊感まであるなんて……僕はさっきほどのまでの不安さえ忘れるような興奮が湧き上がってくる。  神社の息子には見えないような神近くん。名前からして、すでに神社っぽくていいじゃないか。僕は期待に胸をふくらませる。  そうこうしているうちに予鈴が鳴り響き、僕と泰明は慌てて部屋を飛び出した。

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