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「代償」13
放課後になるとさっきまでの静けさから一変、途端に教室が騒がしくなった。無残な結果のテスト用紙で折られた紙飛行機が飛び交い、笑い声が教室中を木霊する。
それを横目に、僕と泰明は鞄を片手に急いで別棟にある神近くん指定の場所へと向かった。
別棟には部活や同好会が利用するための特別室が多く点在している。その中の一つ、角部屋という高立地の場所にある部屋の前で、僕は緊張した面持ちで立ち尽くす。
扉に張られている張り紙には『中に入ったらすぐ閉めろ』と書かれ、まるで何かが入り込むのを恐れているように思えた。
泰明が僕に目配せをすると、ドアをノックし「入るぞ」と声を掛けた。返事を聞かずに泰明が扉を開ける。先立って入る泰明の後に、僕は続くように中に入り込んだ。
大した広さのない教室には、壁のあらゆる箇所にパズルが飾られていた。動物や風景画、アニメキャラクターにまでいたり、統一感は皆無なようだ。
窓際にぽつんと置かれた椅子に腰を下ろし机を前にしているのは、神近くんだろうか。頬杖を付きながら、片手にパズルのピースを持って机上に散らばるピースを眺めている。
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