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「正真」17
昨夜、神近くんに家まで送ってもらった僕は、お風呂を済ませるまでいて欲しいと結局は泣きついたのだった。真っ暗な部屋の中を見た途端、神近くんの腕を離すことが出来なくなってしまったのだ。
心底迷惑そうな顔をした神近くんだったけど、帰らずにリビングで待っていてくれたのには、安堵と感謝の気持ちで泣き出しそうになったことは言うまでもない。
お礼にはならないかもしれないけど、僕は唯一作ることが出来る炒飯を振る舞った。神近くんは「まずまずですね」と言いつつも、完食するなりさっさと帰ってしまう。
一人になった僕はなかなか寝付けないうえ、泰明に電話するわけにもいかずに、寝不足の状態のまま学校へと登校する。
僕が重たい目を擦りつつ教室に入っていくと、先に来ていた泰明はちらりと視線を僕に向けて、普通に「おはよう」と声をかけてくる。
少しぎこちない挨拶を僕も返すと「入部したのか?」と、至っていつもと変わらない口調で問いかけてきた。
僕は少しだけホッとしつつ、後に引きずらないタイプの泰明はやっぱり大人だと思わざるを得ない。
「それがさ——」
周囲に人があまりいないのを確認した僕は、昨日の一連の流れを泰明に話していく。もちろん、僕達にしか分からないよう考慮してだ。
人が少ないとはいえ、神近くんに迷惑をかけるわけにはいかない。伏せ字多量の僕の話を、泰明は終始硬い表情で黙って聞いていた。
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