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「訪問」22

 震える唇を薄く開くと、すんなりと舌が入り込んでくる。少し冷たい舌先が口内をまさぐり、僕も追うように舌を絡ませる。神近君の体が微かに震え、戸惑っているのだと分かった。  こんな状況でこんな事をするなんて、どう考えてもおかしいのは分かっていた。でも、夢中になってキスを交わしているうちに、まるで脳が麻痺したかのように恐怖が薄らいでいく。  恐怖から逃れる為なのか、はたまた神近君に好意があるからなのか……僕は神近君の首の後ろに腕を回す。 「んっ……っ」  神近君の手が僕の脇に手をやり、摩るように動かしていく。その官能的な動きに、僕は思わず体を震わせる。 「っ……はぁっ……か、神近君……」  僕は唇を離して、驚いた目で神近君を見上げる。 「先輩。勃ってますよ」  唇を離した神近君が、悪戯っぽい顔で僕を見下ろす。 「こんな時なのに、はしたない人ですね」  そう言って僕のズボンの上から下腹部を撫でていく。僕は慌てて神近君の腕を掴むも、「煽ってきたのは先輩ですからね」と言ってもう片手で掴まれてしまう。 「で、でも……もういなくなったみたいだし」  キスに夢中になっている間に、いつの間にか部屋が静まり返っていた。さすがにキス以上するのは、気が引けてしまう。

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