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「訪問」29
翌日は昼近くまで二人で爆睡してしまい、慌てて起きた時には強い日差しがカーテンから差し込んでいた。
「夏休み初日から寝坊したね……」
僕がポツリと零すと、神近くんは怠そうに体を起こしてベッドから降りる。
「準備したら駅まで送って行きます。駅近くで適当にご飯食べましょう」
神近くんはまだ眠たげな表情で、キッチンへと向かって行く。
僕も窓を開けると、昨日洗ってベランダに干してくれていた制服のシャツ取り込む。
外からの強い日差しと熱風がブワッと襲いかかり、ちょっと窓を開けただけにも関わらず、既にじっとりとした汗を掻いてしまう。
「神近くん! 大変だよ!」
すぐさま窓を閉めた僕は、振り返ってキッチンに向かって声をかける。
「何がですか?」
顔を洗った神近くんが、部屋に戻ってきて眉を顰めた。
「外がめちゃくちゃ暑い!」
ずっと外にいたら死んでしまいそうなぐらいの暑さだった。駅まで徒歩二十分。果たして生きてたどり着けるのだろうか。そう思わされてしまうほどに、外は灼熱地獄だった。
「夏ですから当たり前じゃないですか」
神近くんはくだらないといったように、タンスから服を取り出して着替え始める。
細くて白い素肌がさらけ出され、僕は思わず目のやり場に困ってしまう。心臓が高速に打ち鳴らし、ベッドに座り込むと視線を俯ける。
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