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「嫉妬」16

「鐘島先輩。保護者ぶるのは結構ですが、先輩は俺が守りますので御心配なく」 「ちょ、神近くん!」  僕が慌てて止めに入るも、神近くんは泰明に挑発的な視線を向けている。 「お前、何言ってるんだ? 佐渡はお前の物じゃないし、お前だけに守ってもらう必要はない」  泰明は不機嫌さを滲ませた口調で、きっぱりと言い放つ。一触即発状態に僕はどうしたらいいのか分からず、オロオロと二人の顔を見ては「ちょっと、二人とも」と効力ない呪文を投げ続ける。 「先輩。あの女がいないうちに、俺の家に行きましょう」  神近君はせっかく仕訳けたパズルを一緒くたにまとめると、箱にしまい込む。いつもなら色分けしたピースを、きちんと袋に分けてから箱に入れるという流れのはずだった。 「えっ……いいの?」 「いいんです」  神近くんはきっぱりとした口調で言い切ると、鞄を肩にかける。僕の腕を掴むなり「ほら、行きますよ」と言って腕を引く。 「おい! 話は終わってないぞ」  泰明が抗議の声を上げるも、神近くんは僕の鞄まで手に持ち「あなたの手を借りるまでもありませんので」と言い放つ。  ここまで感情を高ぶらせている神近くんを見るのは初めてで、僕は戸惑いを隠せなかった。心なしか神近くんの顔色は青ざめていて「離して欲しい」と口にするのすら憚れてしまう。 「泰明……ごめんね。後で連絡するから」  呆然と立ち尽くす泰明に僕は、声をかけると神近くんに腕を引かれるまま部室を後にした。

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