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「嫉妬」21
「なんで鐘島先輩を頼ったりするんですか?」
「神近くん? どうしたの?」
あまりにも神近くんの変わりように、さすがに嬉しい気持ち以上に驚きが上回ってしまう。
「先輩は俺だけの物です」
神近くんは少し辛そうに顔を歪めると、僕の頬を両手で掴み唇を奪った。複雑な気持ちもあったが、そんな痛々しい顔で見つめられてしまったら拒絶することなど僕には出来ない。
何度か角度を変えて唇が落とされ、神近くんの舌が僕の唇の上を優しく這っていく。
「んっ……か、神近くん……」
官能的な流れに、思わず神近くんの腕を掴む。
「嫌ですか?」
「嫌じゃないけど……」
こんなことをしたこともされたこともなく、僕は恥ずかしさに視線を俯かせる。心臓がおかしくなったみたいに激しく打っていた。
再び神近くんの顔が近づき、唇が触れ合う。啄むように唇を吸われ、ゆっくりと後ろに倒されてしまう。この流れはいくら僕でも、これからどうなるのか分かっていた。
さっきの泰明との電話で言われたことが頭に浮かぶ。でもあれは、僕たちが付き合っていないと思ってそう言ったのだろう。
何度も唇を重ねているうちに、息が苦しくなって僕は空気を取り入れようと薄っすらと唇を開く。すかさず割り込んできた舌先に、体がびくっと跳ね上がる。
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