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「計画」4
「えー、それはないよ」
僕は神近くんの不安をよそに、あっけからんと言ってのけた。それに対して神近くんは本気で呆れているようで、僕に対して冷たい視線を向けてくる。
「鈍いのか馬鹿なのか……あんなにあからさまな態度を取られているのに気づかないなんて、さすがに鐘島先輩に少しは同情します」
そこまで言われてしまうと、僕もさすがに悩まざるを得なくなってしまう。確かに、今日の泰明の様子は、いつもと違って食い下がるような発言が多かった。というより、最近の泰明はなんだか変だ。
「でもさ、泰明は彼女もいたし、それはないんじゃないかな」
「彼女いた、いないは関係ないと思いますよ。俺だって彼女いましたけど、先輩の事――」
一番肝心なところで神近くんは黙り込んでしまう。
「なに? 先輩の事が何?」
僕は期待に満ちた表情で神近くんに詰め寄る。まだ一度も好きだと言ってもらえていない僕は、この千載一遇のチャンスに飛びつかないはずがない。
「……なんでもないです。そんなことより、鐘島先輩に彼女がいたことがあるにしたって、今はフリーなんですよね?」
詰め寄る僕に対して神近くんは、きまり悪そうな顔をするだけで話を変えてしまう。上手く逃げられた僕は、思わず拗ねたように「そうだよ」と声を低くし身を引く。
たった二文字「好き」と言えばいいだけなのに、何をそんなに意地を張るんだか僕には理解できない。
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