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「計画」8

「さすが、恋愛慣れしてる人は言うことが違いますね」  つい嫌味っぽい口調で、僕は口を尖らせる。せっかく下がっていた溜飲が、再び逆流して僕を襲った。 「別に恋愛慣れなんかしてません。全部兄に――」  そこで神近くんはベッドから立ち上がると、トイレ行ってきますとポツリと零して背を向けてしまう。  明らかに様子がおかしい神近くんの背を見送りながら、僕はベッドに寝転んだ。  神近くんの人に対してどこか冷めているのは、お兄さんが原因なのだろうか。家庭環境に問題があると、性格形成にも影響を及ぼすと聞く。きっと神近くん個人の問題だけに留まらないのかもしれない。  そう考えると何故か好意を持ってもらえている僕は、どうして彼の心に入り込むことが出来たのか気になるところだった。  そうこう考えていると神近くんが戻ってきて「もう寝ますか?」と僕の顔を覗き込む。 「うん。そうだね」  僕は下から神近くんの顔を見つめる。相変わらず綺麗な顔立ちで、やっぱり僕のどこが良いんだろうかと疑問が湧き上がる。 「ねぇ、神近くん。なんで僕の事好きなの?」  神近くんは電気とテレビを消すと、僕の隣に横たわる。 「馬鹿なとこですかね」  暗がりの中で横たわっている、神近くんと視線が交わった。

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