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「計画」18
僕は相変わらず居たたまれない気持ちで、両手の指を組み合わせてモジモジ動かす。
「あの女。今日はいませんね」
神近くんの呟きに僕も視線を窓に向ける。校門には確かに誰も立ってはいない。
「こんな暑い中じゃあ、さすがに無理だよ」
そうこう話していると「入るぞ」という声と共に、泰明が少し険しい表情で部室に入ってきた。僕は再び緊張で心臓が速まっていく。
泰明は僕と神近くんを交互に見ると「神近もいたのか」と言って顔を顰めた。
僕は少しダルそうな神近くんの目を見て、無言の圧力をかけると立ち上がる。
「泰明。わざわざごめんね、呼び出したりして」
「それは別に構わない。で、話ってなんだ?」
泰明は少し落ち着かない様子で、棚に寄りかかり腕を組む。
「あのね、驚かないで聞いてほしい。てか、落ち着いて聞いて欲しい」
僕は乾いた唇を動かし、泰明に訴えかける。
「大丈夫か? お前の方が落ち着いた方が良いんじゃないのか?」
僕は緊張のせいか、自分で何を言っているか分からないぐらい頭が真っ白になっていた。
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