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「計画」21
「神近くん……口を挟まないって約束だよね」
今にも怒り出しそうな泰明を前に、僕は気を取り直すと眉根を寄せて神近くんを牽制する。
「……すみません。先に行ってます」
険しい表情で神近くんが僕に鍵を投げ渡し、部室から出ていってしまう。素直に引き下がったのに驚いたのか、泰明が少し拍子抜けした表情で扉を見つめていた。
「泰明……ごめんね。神近くんも本当は素直で良い子なんだけど……」
「ああ、お前が惚れたんならそんなに悪いやつじゃないんだろうが……」
泰明は「けどなぁ……」と言って俯いてしまう。
「あいつに、お前を取られるとは思ってもみなかった」
「えっ?」
僕は驚いて泰明を凝視する。困ったような表情を浮かべる泰明が僕の手を取った。神近くんとは正反対ながっちりとした力強い手に握られ、僕は振り払う事も出来ずただ戸惑ってしまう。
「俺のほうが……お前をちゃんと守れるし、優しくもしてやれるのにな」
節ばった指が、僕の手を包み込むように握られる。
「もっと……早く言ってれば、こんなに悔しい思いをしなくてすんだのかもしれない」
誰に言うでもなくポツリと零す泰明の言葉に、僕は神近くんが何度も言っていた泰明が僕を好きだという見解が頭を過る。どんなに馬鹿な僕だって、こんな言動をされれば恋愛感情によるものだと気づく。
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