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「久遠」11
学校だったら先生や生徒もいるから、確かに安心だし心強い。
校門を抜けてグランドの方に視線を向けると、走っている陸上部やサッカー部の姿が見えて、僕は少しだけホッとして横目に通り過ぎていく。
上履きに履き替えていると「佐渡?」と声がかかり、僕は驚いて顔を上げた。泰明も驚いた表情で立っていて、安堵から僕は思わず涙がボロボロ溢れ出してしまう。
「……やすあき」
掠れた声で僕が呟くと、泰明の表情が険しくなる。本当だったら泰明に頼るのではなくて、神近くんを呼ぶべきだ。でも今の僕にはそんな余裕はない。目の前にいる親友に、僕は救いを求めたのだった。
「場所を変えよう」という泰明の気遣いに、僕は嗚咽混じりに頷いた。泰明に連れられ辿り着いたのは、本館三階にある生徒会室だった。
鍵を開けている泰明の後ろで、部外者である僕が入って大丈夫なのか不安になる。入るのを躊躇っている僕に、「今日は誰もこないから気にするな」と言って泰明は僕の背を押した。
中には長机が置かれていて、壁際にはファイルの並んだ棚がある。ノートパソコンが机に置かれていて、小型コピー機に繋がっていた。それ以外は机の上には何もなく、綺麗に整頓されている感じから、生徒会の人は几帳面な人が多いのだろうと想像が付く。
椅子に座った僕を残し、泰明は一旦部屋から出て行ってしまう。しばらくすると、戻ってきて僕の前にお茶のボトルを置いた。
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