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第15話
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「───ああ、疲れた……俺、寝るわ」
あれから長谷川たちは「病人に無理はさせられないから」と、高瀬君の涙が止まったところでさっさと帰って行った。
デレデレと幸せそうな顔をした二人を見送ってドアを閉めると、どっと疲れが襲ってきた。
熱、また上がった気がする……
ベッドに潜り込むと、葵が毛布をかけ直してくれる。
「───お前、今夜はどうすんの?」
泊まっていけばいいよ。
まだ一緒にいてほしいんだ。
明日も一緒にいてくれよ。
元気になったらさ、話したいことがいろいろあるんだ。
……言いたいことはたくさんあるのに。
「そろそろ終電の時間だぞ。電車できたんだろ?」
口から出るのはそっけない言葉。
これは風邪のせいじゃない……素直になれない俺の性格のせい。
こんなんだから振られるんだよ。当たり前だ。
「うん。大丈夫……先輩が寝たらちゃんと帰るから」
『ちゃんと帰る』なんて、望んでいるわけじゃないのに、「そうか」なんて返事をしてる。
……自分で自分が嫌になる。
この再会だって、自分が努力したわけではない。たまたまメールが送られただけだ。
そして、そんなメールに葵が動いてくれただけだ。
このまま葵を帰せば、もう二度と会えなくなるだろう───そんなのは絶対に嫌だ。
何か言えよ、俺。
素直になれよ。
もう後悔したくないんだろ。
言え。
言えよ。
言えって!
「───おやすみ、先輩」
何も言えないまま、部屋の電気が消された。
最後のチャンスを、俺は棒に振ってしまった。
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