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第24話

───もう、ちょっと、意味が分からない。 しくしくと泣いて、ベッドの上で籠城してしまった葵と、どうしたものかと途方に暮れてしまう俺…… なんでこんなに泣いてるんだ?さっきまで、あんなに幸せそうだったのに? 訳が分からないからどうしようもなくて、かける言葉もとるべき行動も分からない。 大体、噂の『気になる人』はどうしたんだよ。葵がこんなに大泣きしてるのにさあ…… それが気になって、ベッドにはまっすぐ向かわずに部屋の中を見て回る。 キッチン……トイレ……浴室……ベランダ……隅々まで見てみたが、客らしき人間は一人も見当たらなかった。 ───まてまて。これはどういうことだ。 パニックになりそうな頭を何とか抑えて…… 「───ちょっと、整理して考えよう」 葵には『気になる人』がいる。 そいつは風邪をひいた葵のところに見舞いに来てくれた……から、嬉しい。 俺にもメールしたけど、そいつとタイミングが重なった、だから俺は帰ろうとして。 そしたら、葵が泣き出した。 えーと、『振り向いてくれない』とか言ってたな……あと『好きになってくれない』とか…… で、今泣きじゃくってると。 ……でも、『気になる人』は来たって言ってたよな。振り向いてくれたってことじゃないのか?それって。 しかも、今『ここにいる』って、さ……でも、ここには俺と葵しかいないんだけど…… そいつはどこにいっちゃったんだよ…?どこにも見当たらないんだけど…… どういうことなんだ、これ…… ───うーん……まてまて、落ち着け。 シンプルに考えよう。 ……俺にはメールが来た。 会いに来たら、葵は嬉しそうに笑い泣きしてた。 帰ろうとしたら泣き出した。 部屋には俺以外の客はいない……ってことは、つまり…… 「『気になる人』って……俺のこと?」 そんな結論に達して、改めて足元のベッドの上で泣いている葵を見ると、ますます体を小さくして丸まっては、ぷるぷると震えていた。

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