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第26話

「──何だよそれ!本気で言ってんのか!?」 この期に及んで、そんなこと言い出すか? 今絶対、仲直りするフラグ、立ってたぞ!? ベッドからとびおりると毛布にくるまる葵を見るが、相変わらずじっと動かないまま… 「……それ、本心なのか?……俺のこと、本当に嫌いなのか?」 「……嫌いだよ……ずっと前から、嫌い………嫌い……」 ………俺の方を少しも見ることなく、「嫌い」だけを何度も繰り返す。 ……何度も…何度も… 心も体も言葉も、ひたすら俺を拒んでいる。 ───悪いけど、俺はそんなに心が広い男ではないし、じっと機嫌が直るまで待っていられるほど気長でもないんだ。 「───ああ、そうかよ!悪かったな、一人で勝手に勘違いしてて!………俺、もうこれ以上付き合えねーわ。───帰る」 そう言うと、床に置いておいたスーツをはおり、玄関に戻る。立てかけていたバッグを手に取ると…… 「───じゃあな!さよなら!」 ───ドアを勢いよく開けると、大きな音をたてて乱暴に閉めた。

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