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第28話

「…………先輩は、ずるい…」 「───は?」 ずるい? ずるいなんて言われる覚えはないんだけど? 「いつだって僕を振り回して……好き勝手なことをして……大事なことは何も言ってくれない…」 「…………………」 「今回もそう……どうして2年ぶりにメールくれたの?熱が出て、誰でもいいから助けてほしかったから?それとも彼女と別れたから?」 「………彼女なんて……そんなの、いねーよ」 この2年、ずっとお前のこと引きずってきたのに、どうして彼女なんかできるんだよ…… 「じゃあ、何で連絡してきたの?……僕のこと、もういらないんでしょ?……だったらあのまま、ほっといてくれたらよかった……せっかく忘れようとしてたのに……あきらめようとしてたのに……」 ───苦しい、と葵は呟いた。 下を向いて涙を必死に堪えてる。 そしてその全身で、2年も連絡を怠った俺を非難している……でも…… 「───待てよ。連絡を取らなかったのは、俺だけじゃないだろ?お前だってメールも電話もくれなかっただろ?……同じじゃないか」 俺だけを責めるのはおかしいんじゃないか? 会いたかったのなら自分から連絡すればいい。俺の気持ちを知りたかったのなら尋ねればよかったんだ。 「……同じなんかじゃない!……僕からメールなんて……電話なんて……そんなの……できるわけないよ……」 「何でだよ。それまで普通にやりとりしてただろ?」 「だって!………先輩からのメールも、電話も、『サイン』だったんだもん」 「───は?『サイン』?」 何のことだかさっぱりわからない言葉が出てきて困惑する……『サイン』?俺からの合図ってこと?……一体、何のことだ? 「そうだよ………『まだ、俺のそばにいてもいいよ』っていうサイン……」 そんな、思ってもみなかったことを言うと、葵はこの上なく寂しい顔で、無理に笑って見せた。

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