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第11話

恋人?今、恋人って言った? 長谷川さんの言葉を聞いて、改めて高瀬君の顔を見る。 ……見ているこちらまで苦しくなるくらい、すっかり青ざめて震えていた。 もしかして長谷川さんがこんな紹介をすること、聞かされていなかったのかな…… 「お前……ゲイだったのか……?」 「……いや、どうかな。悠希以外の男には興味ないし。ゲイではないのかもしれないけど……」 長谷川さんは少し首をかしげたあと、「悠希とは、ずっと一緒にいたいんだ」と、言って微笑んだ。 「……悪いな、急にこんな話して。でも、何があろうと一生一緒にいる覚悟ができたから、誰かに俺たちのことを知っていて欲しかったんだ」 それから、高瀬君のほうを向いて手を伸ばすと、さらさらの柔らかそうな髪を撫でた。 「相談もせずにカミングアウトなんかして、ごめん。びっくりしただろ?」 すると、ふるふると首を横に振りながら、高瀬君は泣き始めた。 優しくなぐさめる長谷川さんとかわいらしく涙をこぼす高瀬君を見ていると、素直にお似合いだなあと思う。 高瀬君は泣いているけれど、とっても幸せそう…… そうだよね。好きな人に「自慢の恋人だ」と、「一緒にいたい」と言われたら、それはとっても幸せに決まってるよね。 僕だって言ってほしいけれど、一度だって言ってもらえなかった言葉だ。 こんな風にかわいかったなら、僕も先輩に好きって言ってもらえたのかな…… こんな風に素直だったなら、僕も一緒にいてもらえたのかな…… 僕に足らないものを、この子はみんなもっているんだ…… 恋人のそばで幸せな涙を流す高瀬君が、なんだかとても羨ましかった。

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