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第13話

膝の上にのせると、ますます二人の間が近くなる。 眼鏡を外してこたつの上に置いた。 葵のきゅっと寄ったままの眉間にちゅっとリップ音を立ててキスをすると、たちまちできていた皺が消え去って、少し照れた顔になった。 「───ごめん。ちょっと調子に乗ってからかいすぎた」 すると、ふるふると首を横に振って葵が笑った。 「ううん。こんな風にやりとりしたのって久しぶりで、逆に嬉しい……先輩にだったら、からかわれるのだって嬉しいんだ……」 そう言った葵の表情がとろけるように甘い、幸せに満ちた表情で…… やっぱり続きがしたくなって口唇を近づけたら、葵もゆっくりと目を閉じて、薄く口唇を開いた。 その仕種に少し笑って、隙間からそっと舌を差し込む。今度は逃げることなく、葵の舌が俺のに絡まってきた。 「……んっ……ふっ………んん……あっ…」 離れるのが惜しくて、何度も何度も舌を絡めて吸い上げているうちに、葵の鼻にかかったような甘い声がこぼれだす。 手がそろそろと俺の背中に伸びてきて、ぎゅっと服を掴んだ。 ……苦しいのか? 絡めた舌を離して中断しようとすると……葵の舌が追いかけてきて、もう一度俺の舌に絡みついた。 ……気持ちいいんだ。 ほっとして、俺も手を伸ばして葵の髪をかき混ぜる。風呂上がりの少し湿った髪は、しっとりと俺の指に絡みついた。 ───それからどれ位キスを続けただろう。 そろそろ休憩が必要だ、と一度顔を離すと、二人の間を銀糸が繋いだ。 葵はぐったり体の力が抜けていて、俺の肩に額を押し当てて、浅い息を繰り返した。 「………大丈夫か?」 「………うん」 俺とのキスで体温が上がったのか、葵の体からは甘い匂いが立ち上ってきた。それが俺の下半身を刺激して、困る。 膝にのっている葵は間違いなく気づいてるはずだが、何にも言わない。 だから俺も言わない。葵のそこも膨らんでること。 「………なあ」 「うん」 「俺、お前の全部、食べてしまいたい」 「………うん」 「………食べてもいいか?今から…」 「………うん。食べて。……僕をもう一度先輩のものにして?」 額を俺の肩に押し当てたまま、葵の両腕が俺の背中にそっと回された。 狭い部屋でよかった。こたつとベッドは目と鼻の先だ。 抱きついている葵をそのままもちあげると、二人で移動した。 ………二年ぶりに抱き合うために。

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