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第16話
……イレテ?
イレテって……挿れてって言ったよな、おい!
2年ぶりなんだよ、俺だって。こっちも余裕ないっていうのに、何でこいつは次々俺を煽ってくるんだ?
「お前、久しぶりだろ?挿れるの。きつくないか?」
二人で気持ちよくなれるんだったら、俺は別に挿入なしだっていいんだぞ?……まあ、今日のところは、だけど。
「平気……明日はお休みだし。きついときは家でゴロゴロしとくから」
「そ、そうか?」
「うん……それとも、僕が相手じゃ……無理?」
すっと目線を外して、口唇を噛んだ。ぎゅっとシーツを掴んだ手が震えてる。
……そんなことあるわけないのに、何で心配するかな……
そっと髪を撫で、少し赤くなった眦にキスをすると…
「───ひゃっ!……先輩!?」
……本人が望んでいるんだ。遠慮なく先に進ませてもらうことにする。
葵のモノから溢れ出していた先走りを指ですくって、両足をぐいっと開かせると、窄まりに塗り付ける。
俺にはこんなにかわいく見えていたって、やっぱり葵は男だし、ここはそういうためにできてはいない以上、どうしたって潤いが足りないからな。
そのまま人差し指だけ奥に進めてみると…
「───っ!!」
悲鳴のような声を必死に噛み殺していたが、やはり指一本だけでも痛いようだ。
そこは2年の間に、すっかり固く閉じてしまっていた…
「……悪い……ちょっと待ってろ…」
触れあっていた体を一度離しベッドから下りると、ベッドライトを置いている棚の引き出しを開ける。そこからローションのボトルとコンドームを一つとって振り返ると…
「…………葵?……どうした?」
俺の様子をじっと見ていた葵は急に驚いた顔になると、目にいっぱい涙をためて…
それから、足元に押しやっていた毛布をぐいっと掴むと、すっぽり被って丸くなってしまった。
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