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第24話
葵は引き寄せた俺の手に口唇を寄せ、そして自分の頬に押し当てる。
何度も何度も頬ずりしては、嬉しそうに微笑んだ。
「……葵?」
「……ふふ……夢じゃない、や……本物……」
「……………」
「……夢より……本、物のほう…が……優し……」
痛みのせいか……快楽のせいか……その両方か……葵の声は途切れ途切れだったが、胸がぐっと詰まる。
こんなダメ男の俺を……それでも葵は優しいと、一緒にいたいと思ってくれているんだ……
本当に、かわいい……
こんなに必死になって自分を必要としてくれるやつがいて……我慢なんてできるわけない。
「………葵…もう挿れたい……挿れていいか…?」
すぐにでも突っ込みたい衝動を抑えて、葵に尋ねる……痛い思いも、怖い思いも、させたくなかったから。
葵は俺の手を握ったまま、こくこくとうなずくと、「……うん……きて……」と、震える声で言った。
名残惜しいが、片手じゃ準備ができない。葵の手を一度離すと、口唇と頬にキスをする。
「わりぃ……ちょっと待ってろよ……」
ああ……さっき下着なんか、履き直さなきゃよかったわ……すでに俺のも、先走りでぐちゃぐちゃだ。
すっかり濡れてしまった下着のゴムに両手の親指をかけると、一気におろす。それと同時にぶるんと俺のモノも解放されて、持ち主もあきれるほど力強く上を向いていた。
……ま、久しぶりだし……さっきから煽られっぱなしだからな……
ちらりと葵の様子を窺うと、真っ赤な顔で俺のモノを見ている。
恥ずかしいのか……照れているのか……少なくとも怖がってはいないようで安心した。
先ほど出番を奪われたかわいそうなコンドームを手に取ると、袋を破って中身を取り出した。
あー……これも2年ぶりだわ……
そう思うと、なかなか俺もしつこい男だよな。
自分からは行動しなかったくせに、他のやつに目移りすることなく、葵のことを想い続けてさ……まあ、おかげで今こうしてるんだから、間違いじゃなかったってことだろうけど。
液だめの空気を抜いて亀頭にのせると、ゴムを下へ下へかぶせていく……こういう作業ってちゃんと体が覚えているらしい。実にスムーズだ。
つけ終わったコンドームに念のためローションをつけて潤いを補うと、もう一度葵にキスをした。
待っている間に閉じてしまっていた葵の両脚をそっと開いて、その間に入る。
細い腰を持ち上げて俺の膝にのせると、もう一度窄まりに指を挿れた。
「───んんっ!……あんっ……」
時間を空けても葵の体は閉じることなく、俺を待っていてくれたようだ。
これなら怪我をさせることはなさそうだ。
「じゃあ……挿れるからな」
ぎゅっと目をつぶったまま、葵がこくこくと頷いた。
それを確認すると、俺は自分の高ぶりに手を添えて、葵の、俺以外の誰にも見せたりしない秘密の場所にそれをあてがった。
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